いま介護が必要な親を抱えて離職に悩むかたが多くいます。
昔と違う介護の実態。
介護コンサルタントの和氣美枝さんから「隠れ介護」についての例と隠れ介護にならないためのアドバイスが紹介されていました。
隠れ介護とは?
仕事をしながら親の介護をしている人が、職場に現在の状況を伝えずに隠れて介護を続けている状態のことを意味しています。
では、どうして隠れて介護をしなければいけないのでしょうか?
それは、介護をしながら勤務していると会社から厄介者扱いされたり、離職に追い込まれたりという状況を見聞きして、自ら職場に申し出づらいという心理が働くようです。
母親の怪我の介護をするために隠れ介護を選んだKさん(事例)
離れて住んでいる高齢の母親が怪我のために介護が必要になったKさんが取った行動とは?
当初はKさんの妻が介護をして、週末はKさんも介護をする状況でした。
しかし、奥さまが介護のストレスで倒れたのを機にKさんの負担も大きくなり、有給なども使って介護にあたりました。
この状況でも、Kさんは会社に違う理由をつけて有給を取っていました。
そうしているうちに認知症の症状も出始めた母親の介護を続けたが、有給もなくなり、ここで初めてKさんは今までの有給で親の介護をしていたことを会社へ報告します。
有給もなくなってしまったKさんは、会社へ「介護休業」を取らせてほしいと申し出ました。
渋い顔をする上司と話し合い、一ヶ月の介護休業を取ったKさんは、休業期間を終えたが、親の介護は続いていて職場に復帰しても、介護疲れで就業できるような状態ではなく、結果として離職することとなった。
介護休業とは
介護休業とは,要介護状態にある家族を介護するために,原則93日を上限に休業できる制度です。
対象となる家族は,配偶者(事実婚を含む。),父母,子,配偶者の父母と,同居しかつ扶養している祖父母,兄弟姉妹,孫です。引用:厚生労働省
現在では、93日を上限として1回だけ利用できるので自身の都合により30日、60日など期限で利用すると、残りの日数は再度利用はできません。
しかも、一回しか使えず、休んでいる間の給与は会社によって規定が決められているので、無給の場合もあります。
でも、実際にはこの介護休業でさえ職場によっては利用しづらい風土があるのが現状です。
その精神的負担が、隠れ介護となるのですね。
どんな理由で隠れ介護を選ぶのか?
勤め先に迷惑をかけたくない
出世に影響する
同情されたくない
などの理由で介護していることを言い出せない人が多いようです。
また、会社に迷惑をかけてしまうことで、離職に追い込まれるのではないか?という不安を抱えてしまうかたも多いようです。
介護コンサルタントからのアドバイス
会社に「相談」ではなく「報告」をすべし。
隠したままで勤務していると、勤務態度が悪い人だと思われる。
報告をして現状を知ってもらうということが大事。
介護をしないという選択肢も考えること。
最近の「介護」は、それによって職を失ったり、24時間つきっきりで介護して介護疲れでパンクしてしまったり、頑張れば頑張るほど介護する人間を追い詰めます。
もっと周りにSOSを出して、必ずしも家族が介護しなくてもいいんだ。という選択肢も必要ですね。
精神的に負担になってしまうのは、介護される側もする側も幸せにはなりません。
介護と仕事を両立する方法とは?
「地域包括センター」へ話をしに行く。
全国に4600箇所以上ある誰でも無料で介護について相談できる場所です。
介護のサービスについて提案してくれたり、いろいろな話しを聞いてくれます。
介護について必要な情報を集めて、一人で抱え込まないということが隠れ介護をなくすスタートですね。
大事な家族だからこそ、みんなが幸せになれる道を探すことが大事です。